時は昭和末期、バブル景気間もない頃で既に浮かれた様相の、今思えば独特の雰囲気に取り囲まれていた時代。
その中にあって、まさに世相を象徴するかのような名コピーが生まれました。
「くうねるあそぶ」
「おいしい生活」(西武百貨店)や「今のキミはピカピカに光って」(ミノルタ)、ジブリ映画等数々の名キャッチコピーでお馴染みの糸井重里氏による、日産セフィーロCMの有名なコピーです。
なにせこの当時はカタカナの言葉をあえてひらがなで表記するのがカッコイイとされていました。
ですので、この「くうねるあそぶ」なる意味不明な言葉も、きっと「クーネルアソブ」が元の言葉と信じて疑わなかったわたし。
ん?どういう意味?何語だ?なんかの呪文か?
割と真剣に考えていました。
ま、なんのことはない。
「食う、寝る、遊ぶ」というヒトの欲求をそのままひらがなで繋ぎ合せただけなんですが、目を引く効果はバツグンにありましたね。
「お元気ですかぁ~」
日産セフィーロCM
そして、このセフィーロのCMを語るうえでもう一つ欠かせないのが、「みなさん お元気ですかぁ~」という言葉。
CMに起用されていた井上陽水氏が、セフィーロの助手席からおもむろに放つこのセリフも当時非常に話題になりました。
まあ話題になったと言ってもちょっとしたいきさつがありまして、当時を知る方ならよく覚えていらっしゃるかと思いますが、昭和末期だけあってこのときは天皇陛下の御容態が思わしくなかった時。
この陽水氏の何気ない言葉もCM開始からほどなく自粛され、その部分のセリフがカットされました。
ですので、従来通り陽水氏は助手席からテレビ画面に向かって話しかけているのですが、音声はカットされているため口をパクパクしているだけという少々異様なCMになってしまったという有様。
でも、当初何度か音声付で放映されていたため、「あれ、前はなんか言ってたよね?」と、変な方向で話題になってしまいました。
「世の中バカが多くて疲れません?」
「近頃のテレビは規制規制でつまらなくなった」
よく聞く言葉です。
たしかにバラエティ番組はじめ、あらゆるジャンルの番組で自主規制やクレームによる謝罪など、テレビを取り巻く状況は少々重苦しくなったのかもしれませんね。
「バブル期のテレビなんてやりたい放題だったぜ」、なんて自分が制作に関わったわけでもないのに変に自慢する大人がいます。
ま、そういうのはわたしたち団塊Jr.世代に多いようですが・・・。スミマセン。
でも、振り返ればこのセフィーロのCMもなかなかの締め付けといいますか規制振りでしたねえ。
「お元気ですかぁ」のCMがダメで、同時期放映していた志村けんの「だいじょうぶだぁ」という番組タイトルがOKだったその線引きは一体どこだったのか・・・。
そういえば、この件とは異なりますが、見出しの「世の中バカが多くて疲れません?」というセリフも差し替えになりました。
桃井かおりさん出演1991年の「チョコラBBドリンク」のCMでしたが、セリフが適切かそうでないかは今は置いといて、こちらもクレームによりあっという間に変更に。
結果、「バカ」の部分が「お利口」へ差し替わったわけですが、この変更後のセリフが少々のことで荒立てるお利口さんの多いそういった団体を揶揄するようで、逆に皮肉が効いていて面白い!となった次第でした。
とはいえこのCM、なんでもクレームが来るとこは想定済みで、最初から差し替え前提で2パターン用意していた話題作りだったとかそうでないとか。
なにやらクレーム団体を逆手に取った痛快なお話ですな。
チョコラBBドリンクCM
セフィーロの話がしたかったんですが・・・
あー、完全に話が脱線しました。
もともとこの名コピーから始まって、セフィーロについての思い出話を書くつもりが変な方向へ筆が進んでしまいまして。
いまさらですが、軽めにセフィーロについて。
このクルマ、大学時代小生意気にも後輩が乗り回していました。
当時のわたしの愛車はトヨタのAE92レビン。
なにしろこのセフィーロ。形こそ違えど中身はほとんどスカイラインですからレビンでは勝ち目なんてありゃしません。
いえ別に公道バトルしてたわけではないので勝ち負けなんてハナから無いんですが、何気に一般道を流していても置いて行かれることもしばしば・・・。
5ナンバーサイズでFR、そして日産珠玉の直6RBエンジンとくれば、今なら垂涎モノのスペック。
実際このセフィーロ、晩年は走り屋仕様として需要が高かったようですから、永らく愛された名車と言っていいでしょう。
クルマの走りを評価するとき、当然それまでに乗り継いだ車種によりその印象は異なります。
この当時わたしが知り得るクルマは自分のレビンや友人のホンダCR-Xにシビック、トヨタのスターレットにいすゞのジェミニとなんとも学生らしいラインナップ(笑)
その中、このセフィーロの走りは群を抜いていました。
直6エンジンのスムーズなフィールは4気筒と格の違いが感じられ、これが高級車かと度胆を抜かされることしきり。
当然加速性能や旋回性能は言うに及ばず、当たり前のことですが4ドアセダンという形状も、学生が遊びに行くにはもってこい。
そんなんですから、女子受けも良かったですねぇ。シミジミ。
結局このセフィーロ所有の後輩、クルマの使い勝手と見栄えの良さから遊びのイベントごとに駆り出される日々が続きました。
でもこのクルマ、コンセプトが「33歳のセダン」でしたから当時は大人びて見えましたが、今となっては33歳なんてずいぶん年下になりましたねぇ・・・。
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