団塊Jr.世代男子にとっての恋愛マニュアル本は「ホットドッグプレス」と「ポパイ」でした。
どちらもファッション中心の雑誌ではありましたが、恋愛特集の際は部数が伸びていたのか、次第に恋愛ハウツー記事の割合が高くなっていった記憶があります。
当時の大多数の男子どもが何らかの形で目にしており、どちら派かでその人の恋愛スタンスがなんとなく分かるという、ちょっと今ではない2大勢力でしたね。
なにせ80~90年代当時、高校生や大学生にもなれば体育会系でもない限り、こういった雑誌を読んでいないと「オタク」や「ネクラ」といった烙印を押されかねない状況でしたし。
「オタク」についてはこの当時から多少意味合いが変遷しつつも現代に引き継がれていますが(当時は今よりネガティブ)、「ネクラ」はさすがに使われなくなったようで。
ま、今では「陰キャ」(陰気なキャラ)という言葉がそれに近いものかもしれませんが。
恋愛バイブル?
この2誌の傾向の違いは、あくまでファッション誌としての位置付けを守っていたポパイに対し、今の「SPA!」のような面白おかしい創作要素で紙面を盛り上げていたのがホットドッグでした。
それだけに読み物として楽しいのはホットドッグでしたが、やや飛躍した恋愛ハウツーはあまり参考にならなかったような(笑)
まあ、「ホイチョイ・プロダクション」や「木村和久」のノリでしたねぇ。
ん? 分かる人は限定されるかな?
ホイチョイ・プロダクションはクリエイターグループで、テレビや雑誌の企画を行っていました。
「東京いい店やれる店」(1994年)という、なんとも直球でゲスいタイトルの書籍も出版していましたが、当時そこそこベストセラーだったという事実も恋愛マニュアルブームを象徴していますね。
ちなみに「やれる店」と言っても風俗店のことではなく、雰囲気のいいイタリアン等その後の展開が期待できるムードのある店という意味です。
最近ではバブル期に躍進した経験を生かして、映画「バブルへGO!!タイムマシンはドラム式」(2007年)を監修していました。
って、これもう10年近く前の映画なのか・・・。
木村和久氏は「トレンドウォッチャー」の肩書を持つコラムニストで、「平成ノ歩キ方」なるバブル期の人物模様を描いたコラムを「スピリッツ」に連載していました。
のび太くんが大人になったような、あまりイケてない風貌なのに妙に恋愛事情に詳しいのがナゾでしたが、カタカナの肩書が無敵だった時代、その効力をいかんなく発揮して遊びまくっていたのでしょう。
どちらも軽~いノリを信条とした、バブルの申し子ともいえる方々です。
使える内容だったのか?
さて、そんな恋愛マニュアル本。
参考になる内容だったのかといえば、地方在住の身からすれば大半はビミョーでした。
なにせ、こういった雑誌で恋愛においてポイントになるのは「店選び」
そのほとんどが東京や横浜あたりでしたので、地方民はもうポカ~ンでしたよ。
大体この手の雑誌に出てくる店は決まっていたので、行ったこともないのに無駄に詳しくなってしまったり(笑)
次に多かった内容が「女性のタイプ別口説き方」
「ワンレンボディコンのあの子はこう口説け!」とか。
いえ、ワンレンボディコンの子なんて周りにいないんですけど・・・。
「ソバージュの子は実はさびしがり屋」とかも書いてましたが、ホンマかね。 ていうかなにが「実は」なんだか。
まあこういった記事はともかく、「ホテルへのスマートな誘い方」とか、「もうひと押しの口説きのテクニック」とかはソックリそのまま実践しないまでも、心の片隅で参考にしていましたけどね、エッヘン!
肝心なのは恋愛マニュアルを真似ることではなく、こういった予備知識を付けることによって自信を持つことが大事だった気がします。
刻まれた名言「小僧ども!ソープへ行け!!」
あれからもう軽く20年以上経過しているのに、未だに忘れられないフレーズがこれ。
ホットドッグプレス誌上にて、作家「北方謙三」氏により連載されていた人生相談「試みの地平線」での名文句でした。
意味合いとしては、恋愛絡みの相談でクヨクヨ悩むのは女性を知らないから踏み込めないだけだ、だったら先にソープへ行って女性を経験してこい!ということです。
とにかくソープへ行けば人生観がガラっと変化する、むしろ経験してからこそ男としての本当の人生である!とばかりに。
悔しいことに当時のわたしは女性未経験でしたから、「ああ、女性を知ればそんなにも人生観が変わるのか!」と大変感銘を受けたものです。
(余談ですが、2011年の週刊ポスト誌で”16年間の連載中、実は4回しかこのフレーズを使っていない”と検証されていましたが、あくまではっきり言い切ったのが4回で、暗に匂わせていたことは頻繁にありました。)
未経験だからこそ恋愛マニュアル本を買う
↓
なのに未経験だからダメなんだと罵られる
↓
でもソープへ行く勇気はない
↓
女性経験者の北方先生の含蓄カッケー!
まあこんな感じで、結局北方先生への憧れが増すというロジックが展開されていました(笑)
ちなみに個人的に女性経験後もそんなに心境の変化はなかったんですけど、あれだけ言われていたから期待値が高すぎたのかもしれませんね・・・。
テレビ、ラジオ、雑誌こそ全ての時代
良くも悪くもネットの無い時代、これらの媒体から入る情報こそ全てでした。
地方住みならなおのこと。
恋愛なんて1対1の出来事なのに、お互いこういう雰囲気のときはこうするべき、こう言われたらこう返すべき、そんな決まり事に縛られていたのかもしれません。
恋愛マニュアル本のみならず、トレンディドラマの影響も大きかったですね。
ある意味これも恋愛マニュアル的でした。
え~っと、クリスマスにはホテルを予約して、ディナーのときティファニーをプレゼントするんでしたっけ?(汗)
しまいには、あえてマニュアルを無視する「外しのテクニック」なるものまで登場してもうわけわかめ。
ネットが普及した今でも暗黙のルールに従ったやり取りはありますが、昔ほど画一的ではないかと思いますので今の方が自由度が高いかな。
昔ほどイケイケの男性向け恋愛マニュアル本も書店にはあまりないですからね。
嗚呼、草食系。
まあ、女性誌のH特集は昔も今も盛んのようですが(笑)
試みの地平線(伝説復活編) (講談社文庫) [ 北方謙三 ] |
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